役に立つかどうかを判断するのは相手です。
職務経歴書と重複するからと勝手に判断して、履歴書を簡略化するケースが見られますが、これはとんでもない誤解です。お膳立てされることに慣れ切った若者は、社会人になってもその身勝手さに気づかないことがあります。提出書類はすべて目を通してもらえるものだと決めつけているのです。口先では「相手の立場を考えて行動している」とアピールしても、読み手である人事担当者の立場をまるで理解していない典型的な例です。
「成功は細部に宿る」ミケランジェロ
応募者が多い場合、人事担当者はすべての書類に目を通す時間がありません。履歴書にさっと目を通し、興味を引く記述がなければふるいにかけるのは当たり前のことです。
多様な経験を積んでいて、その内容を一言アピールしていれば、職務経歴書までじっくり検討してもらえたかもしれません。しかし、簡略に記述したために目に留まらず、面接のチャンスを逃してしまうことがよくあります。転職は自分自身をどう売り込むかが重要です。些細な体験でも相手企業にとっては貴重な情報かもしれません。自分で判断せず、しっかりアピールすることが大切です。
「チャンスは準備された心に訪れる」ルイ・パスツール
培ったスキルは必ず盛り込みましょう
詳細は職務経歴書に記載するとしても、読み手(人事担当者)の心をくすぐるアピールポイントがなければ、興味を持ってもらえません。
前職でどのような仕事をしていたかを箇条書きするだけの履歴書をよく見かけますが、これはデータだけの車のカタログと同じで無味乾燥です。少なくとも、業務を通じてどのようにスキルを培ったかを簡単に触れ、付加価値をつけることが必要です。
現代の多様化した働き方では、正規雇用の社員だけでなく、非正規雇用の嘱託社員、派遣社員、アルバイトなどさまざまな形態があります。短期間の経験でも、応募企業に役立つ体験はアピールすべきですし、ユニークな体験や貴重な体験も記述しておくべきです。それがどこでどのように活きるか分かりません。
最近は企業の統廃合が盛んであり、それが大手企業でも名前だけではどのような企業か判断できないことがあります。ましてや、アルファベットやカタカナの企業名ではなおさらです。職歴企業については、業態や関連企業、メーカーであれば主力商品などを簡単に説明するのが基本です。
業務説明で特に気をつけたいのは用語です。業界では当たり前でも一般的ではない言葉や専門用語は、平易な言葉に置き換えるか注釈をつけるくらいの気遣いが必要です。読み手に理解されなければ意味をなしません。骨折り損のくたびれ儲けにならないよう、丁寧に説明することが大切です。