リファラル採用とは
リファラル採用(社員紹介)は、会社の社員が知人・元同僚・コミュニティの仲間を会社に紹介し、選考につなげる採用のしくみです。求人広告の応募を待つだけでなく、会社とあなたが人づてに出会えるため、早い段階から相互理解が進みます。応募者にとっては、仕事内容のリアルやチームの雰囲気を先に確かめやすいのが大きな利点です。
何がうれしいのか(求職者目線のメリット)
社内の生の情報に触れやすい
日々の業務、評価の基準、働き方の前提(フルリモート、フレックス、副業可否)を早期に確認できます。
スピード感が出る
カジュアル面談に進みやすく、選考の起点に乗るまでが短くなりがちです。
ミスマッチの低減
ミッションやカルチャー、EVP(その会社で働く価値)が事前に分かるため、判断の質が上がります。
基本の流れ(全体像)
紹介の打診
社員に「話してみませんか」と声をかけてもらう。
カジュアル面談
30〜45分で相互理解。合えば正式応募へ。
応募・選考
ATS(応募者管理システム)に登録され、面接や課題に進みます。
オファー
条件のすり合わせ、入社時期の調整へ。
関連用語
JD(ジョブディスクリプション)
職務内容・必要スキル・期待成果をまとめた説明文。
EVP
その会社で働く魅力のパッケージ。成長機会や報酬、カルチャーなど。
タレントプール
将来声をかけたい候補者のリスト。今回見送りでも、次の募集で連絡が来ることがあります。
カジュアル面談
選考前の情報交換。面接ではない前提で相互理解を深めます。
コンフリクト(利益相反)
競合や取引関係で利害がぶつかること。副業や機密情報の扱いに注意します。
どう探す?誰に声をかける?
身近なつながり
元同僚、同級生、勉強会やコミュニティの仲間。
オンラインの接点
X、LinkedIn、ポートフォリオサイトなどで交流した人。
イベント・登壇
カンファレンスや勉強会で名刺交換した社員にフォロー連絡を送る。
社内リファラル制度のある会社
採用ページに記載がある企業は、紹介の受け口が整っています。
連絡のテンプレ(相手別)
旧知の知人へ
お久しぶりです。近況拝見しました。もし差し支えなければ、御社の〇〇職について30分ほど情報交換できませんか。自分の経験は△△で、JDの□□が特に近いと感じています。
SNSで交流のある社員へ
初めまして。〇〇の記事を拝見し、××の取り組みに惹かれました。JDの〇〇職に関心があり、紹介制度の運用について伺えますか。短いカジュアル面談をお願いできれば嬉しいです。
二度目以降の打診
先日はありがとうございました。面談で伺った役割が自分に合うと感じました。正式応募の前に、評価の観点と最初の90日の期待役割をもう少し教えていただけますか。
カジュアル面談で確認したいこと
ミッションと優先課題
今期の目的と、最初の90日で任される範囲。
チーム体制と働き方
メンバー構成、連携先、リモートや裁量労働の可否。
評価と育成
目標設定の方法、1on1の頻度、学習支援や書籍補助。
選考フロー
面接回数、課題の有無、タイムライン、合否連絡の目安。
プロフィール準備(見つけてもらう/紹介しやすくする)
一段で伝わる要約
職種、強み、主要スキル、実績の数字、希望の働き方。更新日を添える。
実績の見える化
以前→行動→結果→学びで一例だけでも丁寧に。数値と期間を入れる。
ポートフォリオ
画面キャプチャやレポートを機密に配慮して整理。アクセス権も事前に準備。
企業側の仕組みを理解しておく
紹介ボーナス
紹介した社員に社内で支給される謝礼。応募者の選考には影響しませんが、制度がある会社は運用が整っていることが多いです。
オプトアウト
スカウトや紹介の案内を停止できる設定。負担が大きいときは利用しましょう。
公平性の担保
リファラルでも選考基準は同じ。構造化面接(同じ質問と評価基準)で評価されるのが一般的です。
よくある不安と解消法
落ちたら気まずい
選考基準は社員にも明かされず、処理はATSで独立管理。相手の立場を尊重し、結果に関わらずお礼を伝えれば関係は保てます。
気になる待遇を聞きづらい
年収レンジや働き方はJDや採用ページを基に事前に質問リスト化。面談の後半に確認すれば自然です。
現職に知られたくない
連絡手段は私用アドレスで。SNSの公開範囲と連絡時間帯にも配慮します。
面接につながったら
一貫性をそろえる
職務経歴書と面接で語る内容を同じ芯に。
数字で裏づけ
成果は対象・期間・数値で短く。
逆質問の準備
評価の観点、成功の定義、連携の仕方、オンボーディングのプラン。
日程・連絡
合否や次工程の目安をその場で確認。フォローのメールは24時間以内に。
マナーとコンプライアンス
機密情報の扱い
社内資料の共有は避け、公開情報と個人の経験談にとどめる。
利益相反の回避
取引関係や競合に当たらないか事前に確認。副業・業務委託経験は線引きを明確に。
記録に残す配慮
紹介のお願いや合意はメッセージで簡潔に。誤解を防ぎます。
指標で進捗を見える化(あなた用ミニKPI)
紹介経由の面談数
紹介依頼数に対する面談成立の割合。
書類通過率・一次通過率
ボトルネックの特定に役立ちます。
タイムトゥオファー
応募から内定までの日数。改善余地の把握に。
ありがちなつまずきと対策
お願いが抽象的
何を知りたいか、どの職種か、希望の働き方を一文で。
プロフィールが古い
更新日が新しいだけで反応率が上がります。
長文の自己紹介
最初は三〜四行で十分。続きはポートフォリオへ。
学生・第二新卒の活かし方
ゼミ・インターン・サークル・アルバイトの実績を、状況→行動→結果→学びで一例に絞って語る。OB・OGや長期インターンの先輩に、業務の一日と評価の基準を教わるところから始めると方向性が定まります。
中途の活かし方
職務要約を応募先の言葉に寄せ、直近の成果を一つだけ深掘り。副業や業務委託の経験があれば、要件定義→提案→納品→振り返りまでの流れを簡潔に示すと再現性が伝わります。
ミニQ&A
紹介がないと応募できないのか
通常の応募も並行できます。紹介は一つのルートにすぎません。
紹介を頼みにくい
最初は情報交換から。お礼と次のアクションを丁寧に返すことが信頼につながります。
結果が出るまで時間がかかる
タレントプール経由の再連絡もあります。定期的にプロフィールを更新しましょう。
チェックリスト
✅紹介をお願いする目的と職種を一文で言えるか
✅プロフィールとポートフォリオは最新か
✅カジュアル面談で聞きたい三つの質問が用意できているか
✅日程候補と連絡先を先に提示できるか
✅結果に関わらず24時間以内にお礼を送れるか
リファラル採用は、人を介して会社とあなたが早く深くつながるチャンスです。
短い一通で扉を開き、カジュアル面談で相互理解を重ね、選考では一貫したストーリーで伝える。小さな丁寧さの積み重ねが、ご縁と納得感を高めてくれます。焦らず誠実に進めていきましょう。