離職票とは

離職票は、会社を退職した人が雇用保険の手続きで使う公的書類です。ハローワークで失業給付(基本手当)の受給手続きをするときに必要になります。会社がハローワークに届け出をして作成され、本人に交付されます。

離職票-1 と 離職票-2

離職票-1
氏名・住所・マイナンバーの扱い・被保険者番号・退職日など、本人情報と事務情報が中心です。
離職票-2
離職理由や直近の賃金額・賃金支払基礎日数が載ります。基本手当の計算に使われる重要な部分です。

いつ必要になるか

ハローワークで求職申込と受給手続きを行うときに提出します。面接や転職活動そのものには必須ではありませんが、基本手当や再就職手当、教育訓練給付など雇用保険の制度を使うなら欠かせない書類です。

受け取りまでの流れ

  1. 退職

  2. 会社が「雇用保険被保険者資格喪失届」と「離職証明書」をハローワークへ提出

  3. ハローワークが確認後、会社へ離職票-1・2を交付

  4. 会社が本人へ交付(郵送されることが多い)
    目安は退職後1〜2週間程度ですが、繁忙や不備で前後することがあります。

離職理由の区分(給付に影響する大事ポイント)

自己都合退職
転職、家庭の事情、自己判断での退職など。待期後に給付制限(一定期間の支給見合わせ)がつく場合があります。
会社都合退職
解雇、倒産、雇止めなど会社側の理由。待期後すぐに支給開始になりやすく、所定給付日数も増える傾向です。
特定受給資格者・特定理由離職者
雇い止め、労働条件の大きな変更、やむを得ない家庭の事情など。自己都合でも給付制限が緩和されるケースがあります。
離職票-2の「離職理由コード」が判断材料になるため、内容に違和感があれば早めに会社・ハローワークへ相談します。

金額と期間に関わる項目

賃金日額
直近の賃金から計算され、基本手当の金額の基礎になります。
被保険者期間
雇用保険に入っていた通算期間。所定給付日数(もらえる日数)の決定に影響。
賃金支払基礎日数
各月の給料計算の基礎となった日数。短時間労働・契約社員でも重要な判断材料です。

ハローワークでの手続きに必要なもの

離職票-1・2(両方)
本人確認書類(運転免許証など)
写真(求職者証用に必要な場合)
印鑑(不要の窓口もありますが念のため)
振込先の口座情報
雇用保険被保険者証(手元にあれば)
マイナンバー(通知カードやマイナンバーカード)

関連用語

待期
受給手続き後、支給が始まる前の待ち時間。
給付制限
自己都合退職などで一定期間、支給が見合わせになること。
受給期間
原則として離職の翌日から1年のあいだに受け取れる期間。病気・出産などで延長申請できる場合があります。
受給資格者証
手続き後に発行される、失業給付の「受給者である」証明。
求職申込
ハローワークで求職者登録をすること。求人紹介や職業訓練の案内も受けられます。

記載内容が違うと思ったら

離職理由や賃金の額に誤りがありそうなときは、まず会社に事実関係の確認を依頼します。出勤簿・賃金台帳・雇用契約書・就業規則などの裏付け資料をそろえると話が早く進みます。調整が難しい場合は、離職票と資料を持ってハローワークへ相談します。

会社から届かない・遅いときの対処

会社へ丁寧に進捗確認
提出先や担当が分かっていれば、提出済み日や差戻しの有無を確認します。
ハローワークに相談
会社に連絡を取ってくれたり、今後の流れを教えてくれます。
在職時の書類を手元に
賃金明細、雇用契約書、出勤表などは後日の確認に役立ちます。

再発行・紛失時

会社経由で再交付の手続きを依頼できます。退職から時間が経っていても相談可能です。古い住所のまま紛失しやすいので、転居や氏名変更がある場合は会社側へ早めに連絡を入れておきます。

退職後に合わせて整える書類

源泉徴収票(年末調整・確定申告で使用)
健康保険資格喪失証明書(国民健康保険の加入や任意継続の手続き)
年金の種別変更(国民年金への切替え)
退職証明書(次の会社や各種手続きで求められることがあります)

求職者目線での活用ポイント

離職理由の説明練習
面接で必ず聞かれるため、事実ベースで短く準備します。
自己都合でも支援策を確認
特定理由離職者に該当し得る事情がないか、ハローワークで相談してみる価値があります。
早めの求職申込
離職票を待つ間にでも、求人情報の収集や職業訓練の下調べは始められます。

ミニQ&A

在職中にもらえるか
原則は退職後の発行です。退職が決まったら、送付先の住所をあらかじめ伝えておくとスムーズです。
派遣・契約社員でも必要か
雇用保険に加入していたなら必要です。加入要件に当たるかは就業実態を基に判断されます。
すぐ転職先が決まったら
離職票そのものは保管で大丈夫ですが、短期で失業給付を使わない場合でも、念のため書類は取っておくと安心です。

チェックリスト

退職日・送付先住所・連絡先を会社に伝えたか
離職票-1・2の両方を受け取ったか
離職理由に認識のズレがないか
賃金額・賃金支払基礎日数に誤りがないか
ハローワーク手続き用の持ち物をそろえたか
源泉徴収票・健康保険・年金の切替えも進めているか

離職票は、雇用保険の各種手続きに直結する大事な書類です。

離職票-1と-2の役割を理解し、離職理由や賃金の記載に目を通してからハローワークへ。万一の誤りや遅延は、会社への確認とハローワーク相談で早めに解決できます。手続きを一つずつ進めながら、次の職場に向けた準備も並行して進めていきましょう。