「看護師としてキャリアは続けたいけれど、夜勤や不規則なシフトはもう限界」 「子どもが生まれて、土日に休める仕事に転職したい」
このように感じている看護師の方は、決して少なくありません。
病棟勤務(急性期)では24時間365日の対応が求められるため、夜勤や土日祝の出勤は避けられません。しかし、看護師の資格を活かせる職場は、病院の病棟だけではありません。
この記事では、「日勤のみ」「土日休み」というカレンダー通りの生活を実現しやすい職場を、その仕事内容や転職時の注意点とともに、信頼できる情報に基づいて詳しく解説します。
なぜ看護師は「日勤のみ・土日休み」を望むのか
多くの看護師が働き方の変更を考える背景には、共通の理由があります。
1. 深刻な「生活リズムの乱れ」
夜勤を含む交代制勤務は、体内時計を狂わせ、睡眠障害や慢性的な疲労、自律神経の乱れを引き起こす原因となります。健康を守るために日勤のみの仕事を求めるのは自然なことです。
2. プライベート・家庭との両立
結婚、出産、育児、介護など、ライフステージが変化すると、家族や友人と休日を合わせることが難しくなります。「子どもの行事に必ず参加したい」「週末は家族と過ごしたい」という思いから、土日休みの職場への転職ニーズが高まります。
3. 将来のキャリアと体力への不安
年齢を重ねるにつれ、夜勤が体力的に厳しくなるのは現実的な問題です。「この働き方を60歳まで続けられるだろうか」という不安から、若いうちに日勤常勤のキャリアへシフトすることを検討する方もいます。
【重要】転職前に知るべき「メリット」と「デメリット」
「日勤のみ・土日休み」の職場には大きな魅力がありますが、同時に知っておくべき現実的な注意点(デメリット)も存在します。転職後に後悔しないよう、両方を理解しておくことが信頼できる職場選びの第一歩です。
メリット:得られるもの
- 規則正しい生活: 朝起きて夜眠るという、当たり前の生活リズムを取り戻せます。
- 体調の改善: 慢性疲労や睡眠不足が解消され、心身ともに健康になることが期待できます。
- プライベートの充実: 家族や友人との予定が合わせやすくなり、週末のレジャーや休息が確保できます。
デメリット:失うもの(注意点)
- 給与(年収)の減少: 最も大きな変化です。病院勤務の給与には「夜勤手当」「交代制手当」などが大きく加算されています。日勤のみの職場へ移ると、これらの手当が全てなくなるため、月収で5万円~10万円以上、年収ベースでは大幅に下がることを覚悟しなくてはなりません。
- 業務内容の変化: 病院(病棟)のような高度な医療処置や、最新の医療技術に触れる機会は減少します。
- キャリアの方向転換: 急性期医療のスキルアップやジェネラリストとしてのキャリアとは異なる、専門性(例:予防医療、在宅ケア、美容など)を求められます。
「日勤のみ・土日休み」が実現しやすい職場 6選
これらのメリット・デメリットを踏まえた上で、カレンダー通りの勤務がしやすい代表的な職場を紹介します。
- クリニック(診療所)
- 健診(検診)センター
- 企業(産業看護師)
- 保育園・こども園
- 介護施設(デイサービス)
- 訪問看護ステーション(※条件付き)
職場別:仕事内容と特徴の比較
それぞれの職場で求められる役割や、休日に関する「注意点」を見ていきましょう。
1. クリニック(診療所)
地域密着型の無床または有床(19床以下)の医療施設です。
- 主な仕事内容: 医師の診察補助、採血・注射・点滴、検査説明、医療器具の準備・洗浄など、外来業務全般です。
- 休日の特徴: 多くが「日曜・祝日」を休診日としています。ただし、土曜日は「午前のみ診療」や「終日診療」の場所が多く、「土日休み」ではなく**「日曜+平日1日」**(例:木曜・日曜休み)というパターンも非常に多いため、求人票の確認が必須です。
2. 健診センター・検診車
予防医療の最前線であり、健康な方や自覚症状のない方を対象とします。
- 主な仕事内容: 問診、採血、血圧測定、心電図、身体測定、内視鏡補助、バリウム介助など、健康診断や人間ドックの検査業務です。
- 休日の特徴: 企業の健康診断(企業健診)をメインに行うセンターは、クライアント企業に合わせて土日祝休みが基本です。ただし、個人向けに土日も開けている施設もあるため、確認は必要です。夜勤は原則ありません。
3. 企業(産業看護師・コーポレートナース)
一般企業の医務室や健康管理室で、社員の健康管理を担います。
- 主な仕事内容: 社員の健康相談、メンタルヘルスケア、ストレスチェック対応、健康診断の企画・実施、ケガの応急処置、衛生委員会の運営など。デスクワークや調整業務も多くなります。
- 休日の特徴: 勤務先企業の**就業カレンダー(所定労働日)に準じます。**そのため、完全週休2日制(土日祝休み)で、夏季休暇や年末年始休暇も一般社員と同様に取得できる場合がほとんどです。非常に人気が高く、競争率が高い職種です。
4. 保育園・こども園(保育園看護師)
園児の健康管理と安全確保が主な役割です。
- 主な仕事内容: 園児の健康観察(視診)、怪我や発熱時の応急処置と保護者連絡、感染症対策、保健だよりの作成、アレルギー児の管理、保育士のサポート(保育補助)など。
- 休日の特徴: 基本的には土日祝休みです。ただし、近年は土曜保育を実施している園が多いため、**「土曜出勤(交代制)あり、平日に振替休日」**となるケースが増えています。面接時に確認が必要です。
5. 介護施設(デイサービス)
介護施設の中でも、**「通所介護(デイサービス)」**は日勤のみ・日曜定休の代表的な職場です。
- 主な仕事内容: 利用者のバイタルチェック、服薬管理、健康相談、簡単な医療処置(褥瘡、インスリン注射など)、介護職員のサポート。
- 休日の特徴: デイサービスは利用者が日帰りで利用する施設のため、夜勤がありません。また、日曜日は定休としている事業所が非常に多いのが特徴です。ただし、土曜日や祝日は営業している場合が多いため、「土日祝休み」ではなく「日曜+他1日」のシフト制となることが一般的です。 (※注意: 同じ介護施設でも「特別養護老人ホーム(特養)」などの入所施設は24時間体制のため夜勤があります。)
6. 訪問看護ステーション(※要注意)
在宅で療養する方の自宅へ訪問し、ケアを行います。
- 主な仕事内容: 病状の観察、医療処置(点滴、カテーテル管理など)、服薬管理、家族へのケア指導、ターミナルケアなど。
- 休日の特徴: 事業所(ステーション)自体は土日祝を「定休日」としている場合が多く、日勤のみの勤務が基本です。 【最重要の注意点】 休日が定まっていても、利用者様の急変に対応するため**「オンコール(緊急時対応の電話待機)」を交代で担当する**必要があります。電話が鳴れば、休日や夜間でも緊急訪問が発生する可能性があります。オンコール手当は支給されますが、「完全に休みたい」という希望とは異なる場合があるため、オンコールの頻度や手当、実際の緊急出動の回数は必ず確認してください。
病院でも「日勤のみ」は可能?
「病院の高度な医療には携わりたいが、夜勤だけを外したい」という場合は、病棟以外への異動や転職という選択肢もあります。
1. 外来(OPD)
病院の外来部門は、基本的に日中の診療時間のみ稼働します(救急外来を除く)。土曜は午前のみ開けている場合もありますが、日曜・祝日は休診が基本です。
2. 手術室(オペ室)
予定手術は平日の日中に行われるため、日勤が基本です。ただし、病院によっては緊急手術に対応するため、訪問看護と同様に「オンコール待機」や「交代での夜間・休日出勤」が求められる場合があります。
3. 検査科・内視鏡室
心電図室、超音波(エコー)室、内視鏡センターなども、予定検査が中心となるため日勤業務が基本です。
「土日休み」を実現するための求人の探し方
希望通りの職場を見つけるために、求人票では以下の点を必ずチェックしてください。
1. 「休日・休暇」欄の表記を徹底チェック
- 「完全週休2日制(土日祝)」: 最も理想的な表記です。土曜・日曜・祝日が必ず休みになります。
- 「完全週休2日制」: 「毎週必ず2日休み」という意味ですが、それが土日とは限りません(例:日曜+木曜)。
- 「週休2日制」: 「月に1回以上、週2日の休みがある」(それ以外の週は休みが1日の場合もある)という意味です。
2. クリニックの休診日を確認する
前述の通り、クリニックは「日曜・木曜休み」など、平日が休みのパターンも多いです。「土日休み」を絶対条件にする場合、クリニックの選択肢はやや狭まる可能性があります。
3. 「オンコール(待機)」の有無に注意
訪問看護や手術室の求人では、休日が「土日祝」となっていても、備考欄に「オンコールあり」と書かれていることがほとんどです。これが許容できるかどうかは、ご自身のライフスタイルと照らし合わせて判断してください。
あなたの看護師免許は、色々な場所で通用します
病院の病棟で夜勤を続けることだけが、看護師の働き方ではありません。
夜勤手当がなくなることで一時的に年収は下がるかもしれませんが、規則正しい生活と心身の健康、そして家族と過ごす時間という、お金では得難い価値を手に入れることができます。
あなたの看護師免許は、あなたが望むライフスタイルを実現するための強力なパスポートです。まずはどのような選択肢があるかを知ることから始めてみてください。