「700万円」は“設計して到達する”金額

年収700万円は、平均的な働き方の延長で自動的に到達する水準ではありません。病院種別や診療科、勤務形態(夜勤・夜専・オンコールの設計)、役職・専門性、地域差、賞与係数、歩合・インセンティブの有無を“組み合わせて設計”することで現実的に狙えるレンジです。年収はおおむね①基本給、②諸手当(夜勤・オンコール・危険・住宅・通勤ほか)、③賞与、④歩合・インセンティブ、⑤時間外の合算で構成されます。どこをベースアップし、どこで上積みするのか——ここを最初に言語化しておくと、求人の選別・交渉・日々の行動が一気に明確になります。

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※年額は概算です。求人票・就業規則・雇用契約をご確認ください。

到達しやすい5つのモデル(概算イメージ)

以下は“あり得る構成”を数字でイメージするためのモデルケースです。実際の金額は法人ごとに異なるため、求人票・就業規則・雇用契約で必ず確認してください。

  • モデルA:急性期×夜勤多め×賞与係数4.0
    • 基本給32万円×12=384万円
    • 賞与(4.0ヶ月=128万円)→累計512万円
    • 夜勤手当:1.3万円×月8回×12=124.8万円 →累計636.8万円
    • 残業:月10h(時給2,000円×1.25×10×12)=30万円 →累計666.8万円
    • 住宅・通勤等:月2万円×12=24万円 →約690.8万円
    • ※夜勤回数が月9回、もしくは特別手当が加われば700万超が視野。
  • モデルB:訪問看護(管理者)×オンコール×インセンティブ
    • 基本給35万円×12=420万円
    • 賞与(2.0ヶ月=70万円)→490万円
    • 管理者手当:5万円×12=60万円 →550万円
    • 事業インセンティブ:月6万円×12=72万円 →622万円
    • 呼び出し手当:3,000円×月15回×12=54万円 →676万円
    • 待機手当:2,000円×月7回×12=16.8万円 →692.8万円
    • 交通・通信等:月1万円×12=12万円 →約704.8万円
  • モデルC:美容クリニック×売上歩合
    • 基本給30万円×12=360万円
    • 賞与(1.0ヶ月=30万円)→390万円
    • 歩合:売上600万円/月×3%=18万円×12=216万円 →606万円
    • 施術件数手当:5万円×12=60万円 →約666万円
    • 繁忙期の歩合上振れ(月平均+2万円×12=24万円)→約690万円
    • 月単位での歩合上振れが重なると700万円超も現実的。
  • モデルD:応援ナース(高時給×住宅補助)
    • 時給2,500円×8h×月22日×12=528万円
    • 夜勤手当:2.5万円×月2回×12=60万円 →588万円
    • 住宅補助:5万円×12=60万円 →648万円
    • 赴任・更新ボーナス等:一時金30万円 →678万円
    • 夜勤を月+2回にすると+60万円 →738万円も可能(体力設計は必須)。
  • モデルE:管理職(主任/副師長/師長)
    • 基本給38万円×12=456万円
    • 賞与(4.0ヶ月=152万円)→608万円
    • 管理職手当:5万円×12=60万円 →668万円
    • 役職特別手当:2万円×12=24万円 →692万円
    • 通勤・住宅等:1.5万円×12=18万円 →約710万円

自己棚卸し:強み・制約・価値の“数値化”

  • 強み:急性期・救外・ICU・手術室・内視鏡・透析・小児・産科・精神・訪看・美容・健診・治験支援(CRC)など、経験を“配属・件数・スキル”で数値化。
  • 制約:夜勤回数・オンコール可否、通勤距離、家庭事情、健康状態、学習投資に使える時間と費用。
  • 価値:事故ゼロ日数、手技成功率、術前準備の平均時間短縮、再入院率の低減、教育係の実績、加算取得への寄与など、法人の収益・安全・教育にどう効くかを言語化します。
    この“定量・定性セット”が、応募書類・面接・年収交渉で最強の武器になります。

求人票の“読み解き”基準(見落としやすい盲点)

  • 賞与の算定基礎:基本給のみか、諸手当も含むか。賞与の“ヶ月”表示は算定基礎で大きく変わる。
  • 夜勤手当の単価と上限:1回いくら/月の上限回数/夜専の手当設計。
  • 固定残業(みなし残業)の有無:超過分の扱い、36協定の範囲、深夜加算の別建て有無。
  • オンコール:待機手当と呼び出し手当は別か、移動時間の扱い、実績回数。
  • インセンティブ:訪看や美容の“売上連動”は計算方法・対象範囲(材料費控除前/後)に注意。
  • 昇給レンジ:年次昇給の上限、評価ランク別テーブルの有無、役職登用の基準。
  • 福利厚生:住宅手当・寮・転居補助、学会費/資格更新費の補助、退職金制度の有無と在籍要件。

施設・領域別の戦略ポイント

  • 急性期(救外・ICU・手術室):高難度スキルを“数値×責任”で可視化し、夜勤回数と残業の最適化で積む。教育係・プリセプター・委員会活動も評価の根拠に。
  • 回復期・療養:昇給テーブルや役職登用を軸に“賞与係数×役職手当”で攻める。
  • 訪問看護:管理者・教育・加算(特定管理)・オンコール設計・インセンティブの“全部乗せ”で伸ばす。
  • 美容:カウンセリング成約率、客単価、施術回転、口コミ獲得数をKPI化し歩合を最大化。
  • 健診・産業保健:平日昼間主体での高年収は難度が上がるため、“管理・教育・企画”を抱き合わせて年俸交渉。
  • 治験支援(CRC)・臨床開発:夜勤は減るが、年俸テーブルが高い法人や外資で引き上げ。英語力・GCP・プロジェクト推進経験がレバレッジ。

働き方設計:夜勤・夜専・オンコール・時間外の“コントロール”

  • 夜勤の回数線引き:体力・健康・家庭と相談し、月6〜8回を上限目安に。夜専は単価が高い反面、賞与・昇給テーブルで差が出るケースも。
  • オンコール:待機手当と呼び出し手当の両取り設計。呼び出し実績の平均を確認し、実収入のブレを許容できるか見極める。
  • 残業管理:稼ぐための“必要残業”と“ムダ残業”を分ける。ムダを減らすほど、プロジェクト・教育・資格学習という“年収を底上げする時間”が増える。

専門性・資格で“単価”を上げる

  • 特定行為研修:処置の幅が広がるほど、急性期・訪看での価値が跳ね上がる。
  • 認定看護師・専門看護師:教育・マネジメント・加算取得・アウトカム改善に直結する領域を選ぶ。
  • 内視鏡・手術室・循環器・集中ケア:機器・手技・プロトコルを体系化して伝えられる人材は希少。
  • 英語・ITリテラシー:外資・治験・教育コンテンツ整備で有利。電子カルテ最適化・手順書整備の実績も価値。

訪問看護で伸ばす“仕組み”

  • 管理者設計:採用・教育・記録監査・稼働計画・加算管理を回せると管理手当+インセンティブが乗る。
  • KPIの共有:1日あたりの件数、記録時間、再訪率、緊急コール対応時間、利用者満足。KPIを現場に浸透させられる人は評価が高い。
  • オンコール運用:回数・導線・判断基準の標準化で負担を抑えつつ、実入りは確保。

手術室・ICUでの市場価値の作り方

  • 高難度シーン(緊急開胸・大血管・脳外・新生児など)での役割を明確化。
  • 安全・時短・連携の“3指標”を数字で語る(インシデント率、タイムアウト遵守率、導線短縮分、術後合併症率 など)。
  • 教育者の顔を持つ(チェックリスト整備、シミュレーショントレ、勉強会運営)。

美容クリニック:歩合最大化のセオリー

  • 成約率(カウンセリング→施術)を上げるコミュニケーション術を体系化。
  • 客単価の改善:セット提案・アフターケア・継続プラン。
  • レビュー戦略:口コミ・SNSでの評判作りは法人収益に直結。指標で示せば歩合率交渉の根拠になる。

管理職へのロードマップ

  • 主任→副師長→師長の要件を把握し、現病院での“最短ルート”か“外部登用”かを見極める。
  • 人事評価指標(離職率・育成率・事故率・患者満足・加算取得)を自ら回せることを証明。
  • 面接台本:人・物・金・情報の運用計画を1枚の資料に落とし込んで提示する。

年収を押し上げる“交渉術”テンプレ

  • 事前準備:相場・テーブル・転居可否・入職時期・貢献プラン(90日/180日)を文書化。
  • 台本例
    • 「現職では○○(定量実績)。御院では初年度から□□KPIの改善に関与できます。年収は**○○万円〜○○万円**のレンジを想定しています。賞与算定基礎と夜勤単価、オンコール設計を踏まえ、どの組み合わせが最適でしょうか」
    • 「歩合は材料費控除の○%を希望、月間施術目標は△△件、客単価の目安は□□円を見込みます」
  • 言い切り×選択肢提示:数字で“期待値”を置き、複数案から選んでもらうと通りやすい。

応募書類の“勝ちパターン”

  • 職務経歴書は“配属×件数×成果×改善”を1ユニットで反復。
  • 実績の見える化:手順書や教育資料、チェックリスト、ダッシュボード化のスクリーンショット(個人情報配慮)を“成果物”として添付可。
  • 推薦状・評価書が取れるなら強力な裏付けに。

面接で効く“逆質問”

  • 「初年度に評価される指標TOP3は?」
  • 「夜勤回数・オンコールの上限と、増やしたい場合の運用は?」
  • 「賞与の算定基礎は?諸手当は含みますか?」
  • 「教育投資(資格・学会)補助の枠と実例を教えてください」

ダブルワーク・単発・応援ナースの併用設計

  • リスク管理:就業規則の副業規定、社会保険の取り扱い、労働時間通算に要注意。
  • 健康優先:連勤・夜勤連投は短期的に稼げても長期では反動が来る。3ヶ月単位で“体力の予算”を見直す。

地域・転居戦略

  • 首都圏/政令市は求人数と給与テーブルが厚い一方、家賃も高い。
  • 地方×高条件(寒冷地手当・住宅補助・応援ナース案件)は、トータル手取りで勝つことがある。
  • 家族構成・ライフイベントと“2年単位の移動”を前提にライフプランを描くと、収入とQOLの最適点を見つけやすい。

“手取り”を最適化する視点(一般論)

  • 社会保険・税:扶養・配偶者控除、生命保険料控除、iDeCo/企業型DCなどは手取りに効く(詳細は事業所規定・税務相談で確認)。
  • 通勤費・住宅手当:課税・非課税の扱い、社宅・寮の条件で実質手取りが変わる。
  • 交通・通信・学習費の補助制度は、要求すれば適用されることがある(就業規則・内規を要確認)。

90日/180日/365日の実行ロードマップ

  • 0〜30日:自己棚卸し(強み・制約の数値化)/希望モデルの選定/応募書類の刷新/求人票の読み方ルール化。
  • 31〜60日:面接→条件交渉→現職との比較表作成。夜勤・オンコール設計の試算を3パターン用意。
  • 61〜90日:意思決定→入職準備。教育資料・手順書・KPIダッシュボードを“入職初日から使える形”で持ち込む。
  • 90〜180日:早期成果の創出(安全・時短・教育)。面談で“数値での貢献”を提示し、早期の手当・役割拡大につなげる。
  • 180〜365日:評価面談→昇給・役職・インセンティブ設計の見直し。外部資格や特定行為の学習投資を開始。

よくある失敗と回避策

  • 賞与の算定基礎を見落とす:基本給のみか、調整手当を含むかで年収が大きく変わる。
  • 固定残業の罠:みなし残業込みの“見かけ年収”に注意。超過分の扱いは必ず確認。
  • オンコール実績のブレ:平均値ではなく“中央値・最頻値・繁忙期”の3点で確認。
  • 歩合の定義が曖昧:材料費控除の前後/キャンセル・クーリングオフ時の扱いを契約書で明記。
  • 健康を削る長時間労働:短期で稼いでも、離脱すれば年収はマイナス。3ヶ月ごとに体調・睡眠・学習時間をレビュー。

ケース別の“伸ばし方”例

  • 急性期で650→700万円へ:夜勤を月1回増やす/委員会と教育係を兼ね、役職手当へブリッジ/内視鏡や透析など“+αの専門”を追加。
  • 訪問看護で680→720万円へ:管理者手当+KPI運用+オンコール設計の最適化/新規利用者獲得フローの整備でインセンティブ増。
  • 美容で660→710万円へ:成約率×客単価のクロス改善/レビュー戦略の導入で月5〜10万円の歩合上振れを安定化。
  • 応援ナースで680→730万円へ:夜勤を月+2回/住宅補助の高いエリアを選択/次回契約時に時給改定を交渉。

安心・信頼につながる“証拠づくり”

  • 数値のログ:自分が関わるKPI(安全・時短・教育・収益)を日々メモ。
  • 成果物:チェックリスト、標準手順、教育スライド。
  • 第三者評価:上長・医師・多職種のコメントや推薦。
    これらは転職時の武器であると同時に、現職での昇給交渉にも効きます。

Q&A(抜粋)

  • Q:夜専と常勤、どちらが年収は伸びやすい?
    **A:**短期の“額面”は夜専が有利なことが多い一方、賞与・昇給・役職の導線は常勤が強い。中長期で700万円を安定化するなら、夜専→常勤(役職)への“はしご”を設計するのが定石。
  • Q:訪問看護のオンコールは負担が心配
    **A:**待機と呼び出しのルール、平均呼出回数、移動手段を事前に確認。導線を整えれば実入りは安定する。
  • Q:美容は歩合の波が怖い
    **A:**成約率・客単価・レビューの“3点セット”を自分のコントロール領域として磨くと、歩合の波は小さくなる。

700万円は可能

入職後は90/180/365日の計画で早期成果→評価→昇給

自己棚卸しで“数値化された強み”を作る

到達モデル(A〜E)の中から無理なく続けられる型を選ぶ

求人票を“賞与基礎・夜勤・オンコール・歩合・固定残業”の5点で精査

面接・交渉は“数字と言い切り+選択肢提示”で主導