履歴書の書き方 看護師のためのサンプルとヒント

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看護師の皆さん、日々の業務お疲れ様です。 新しい職場へのキャリアチェンジを考える際、「履歴書」は、あなたの第一印象を決定づける、あなたの「顔」とも言える重要な公式書類です。

多くの看護師が、職務経歴書(スキルをアピールする書類)の作成には力を入れますが、履歴書は単なる個人情報を埋める作業だと思い込み、ミスをしたまま提出してしまっているケースが後を絶ちません。

この記事では、看護師の転職活動において、採用担当者に「信頼できるプロフェッショナルである」ことを伝えるための、信頼性の高い「履歴書の書き方」のヒントと注意点を、項目別に徹底的に解説します。


【最重要】「履歴書」と「職務経歴書」の役割の違い

まず、転職活動で必須となるこの2つの書類の「決定的な役割の違い」を理解することが、すべてのスタートラインです。この2つを混同すると、あなたの魅力は半減してしまいます。

履歴書:あなたの「事実」を証明する公的データ

履歴書は、あなたが「誰であり、どのような学歴・職歴・資格を持つか」という客観的な「事実」を採用担当者に伝えるための、定型的な公的書類です。 ここで求められるのは、アピール(主張)ではなく「正確性」と「丁寧さ」です。読みやすく、誤字脱字のない完璧な書類を作成することがゴールです。

職務経歴書:あなたの「価値」を売り込むプレゼン資料

職務経歴書は、履歴書では書ききれない、あなたの具体的な「看護スキル」「実績」「強み」を、自由な形式でアピール(プレゼンテーション)するための書類です。 (元の文章にあるような「具体的なエピソードや成果」を詳細に書く場所は、履歴書ではなく、こちらの職務経歴書です)

この記事では、採用担当者が最初に目を通す「履歴書」に絞って、その書き方のヒントを解説します。


履歴書を書く前の準備と基本ルール

看護師の履歴書作成において、中身を書き始める前に知っておくべき信頼性の高いルールがあります。

規格サイズ(A4かB5か)と形式

履歴書にはJIS規格(日本産業規格)などいくつかのフォーマットがありますが、転職活動においては、職務経歴書とサイズを合わせるのが一般的であるため、A4サイズ(A3二つ折り)を選ぶと良いでしょう。

黒のボールペンかPC作成か

かつては手書きが主流でしたが、現在はPC(WordやExcelなど)での作成が一般的です。特に、職務経歴書をPCで作成する場合、履歴書も形式を揃える方が読みやすく、効率的です。ただし、病院や施設から「手書き指定」があった場合のみ、それに従います。手書きの場合は、必ず黒のボールペン(消せるボールペンは厳禁)を使用します。

誤字・脱字は「致命的」なミスと心得る

これが看護師の履歴書における最重要の注意点です。 一般的な職業以上に、看護師の「誤字・脱字」は、単なるケアレスミスでは済みません。「この人は、薬剤の指示書やカルテ記入、内服薬の確認でも同じようなミスを犯すのではないか」と、あなたの「医療安全に対する意識」や「正確性」そのものを疑われる、致命的な減点対象となります。 作成後は、声に出して何度も読み返し、可能であれば第三者にもチェックしてもらいましょう。


看護師のための項目別「書き方」ヒントと注意点

各項目欄を埋める際の、看護師特有のヒントと見本(書き方)です。

1. 基本情報・証明写真

日付は「提出日」または「郵送日」を記入します(作成日ではありません)。 証明写真は、あなたの「清潔感」を伝える最大のチャンスです。スーツを着用し、髪が顔にかからないよう、実際の面接時と同じ(医療従事者としてふさわしい)髪型・メイクで撮影したものを貼り付けます。スナップ写真の切り抜きなどは論外です。

2. 学歴・職歴欄

学歴と職歴は、分けて記載するのが基本です。

学歴はどこから書く?

義務教育(小・中学校)は省略し、「高等学校 卒業」から記載するのが一般的です。学校名は「〇〇高校」といった略称ではなく、「〇〇県立〇〇高等学校 普通科 卒業」のように、学部・学科まで正式名称で記載します。

職歴の「病院名」は正式名称で

職歴は、時系列に沿ってすべて記載します。病院名(勤務先)は、必ず「(医)〇〇会 〇〇病院」のように、医療法人の名称から正確に記載してください。

配属先まで書くべきか

看護師の場合、「入職」の次の行に「〇〇病棟(例:消化器外科病棟) 配属」と、配属先(診療科)まで記載するのが親切です。これにより、採用担当者はあなたの大まかな経験を一目で把握できます。 (※ただし、そこでの「具体的な業務内容」や「スキル」は、職務経歴書に詳しく記載します)

退職理由は「一身上の都合により」で統一

退職した職歴の次の行には、必ず「一身上の都合により退職」と記載します。たとえ人間関係や待遇が理由であったとしても、履歴書に前職の不満やネガティブな理由を書く必要は一切ありません。


項目別ヒント(続き):資格・免許欄

看護師がアピールすべき資格の書き方にも、信頼性を高める順序があります。

1. 免許の「正式名称」と「取得順」

資格・免許は、取得した時系列(古い順)で記載するのが基本です。

必須の国家資格(看護系)

まず看護師としての根幹となる免許を記載します。 (例) 2012年 3月 看護師免許 取得 2013年 4月 保健師免許 取得 (※助産師免許や准看護師免許も同様に記載します)

その他の医療・福祉系資格

次に、認定看護師や専門看護師(もしあれば)、あるいはケアマネジャー(介護支援専門員)や、呼吸療法認定士、BLSプロバイダーなど、業務に関連する資格を記載します。

一般的な資格

最後に、自動車運転免許や、TOEIC、秘書検定などを記載します。


項目別ヒント(最後):志望動機・自己PR・本人希望欄

履歴書フォーマットの最後にある自由記述欄は、小さい枠ながらも戦略が問われる場所です。

「志望動機」欄(小さい枠)の役割

職務経歴書で詳細な志望動機を別途提出する場合、履歴書のこの欄は「要約(サマリー)」の役割を果たします。 (元の文章にあるような具体的なエピソードは職務経歴書に譲り、ここでは)「なぜ他ではなく、貴院なのか」という核心的な理由と熱意を簡潔にまとめます。

「自己PR」欄

これも同様に、職務経歴書で詳述するあなたの「最強の強み」を一つだけピックアップし、簡潔に記載する欄です。

「本人希望記入欄」の戦略的使い方

この欄は、あなたの「わがまま(希望)」を書く場所ではありません。使い方を間違えると、評価を大きく下げる注意点があります。

原則(OK例)

特に希望がない場合、あるいは給与や休日が募集要項通りで問題ない場合は、必ず「貴院(御施設)の規定に従います。」と記載します。これが最も丁寧なマナーです。空欄にはしないでください。

「絶対に譲れない条件」がある場合の書き方(注意点)

もし、「日勤のみ希望」「夜勤は月4回まで」など、雇用形態に関して絶対に譲れない条件がある場合は、この欄に記載する必要があります。面接の最後で初めて伝えると「それなら採用できない」とトラブルになるためです。 (例)「育児の都合上、日勤常勤での勤務を希望いたします」


あなたの「誠実さ」を伝える、完璧な履歴書を目指して

看護師の履歴書は、単なる手続き上の書類ではありません。それは、あなたの看護師としての「正確性(=安全性)」と「誠実さ」を、最初に採用担当者に示すための重要なコミュニケーションツールです。

誤字脱z

字ゼロは当たり前。読み手の立場に立った丁寧な記述を心がけること。その小さな配慮の積み重ねが、職務経歴書や面接で語られるあなたのスキルや経験の「信頼性」を、強力に裏付けてくれるのです。