履歴書

履歴書（りれきしょ）とは

履歴書は、あなたの基本情報や学歴・職歴、免許・資格、志望動機などを一枚にまとめ、応募先が第一印象を掴むための文書です。看護師の転職では、配属領域やシフト経験、患者層、使用してきた電子カルテなど、医療現場ならではの情報が読みやすく整理されていると強みが伝わります。履歴書は入口、詳しい経験は職務経歴書で補完します。

履歴書と職務経歴書のちがい（看護師版）

履歴書
氏名・住所・連絡先・学歴・職歴・免許資格・志望動機・本人希望などの定型情報を簡潔にまとめる。採用側が全体像を素早く把握するための土台。

職務経歴書
配属病棟や担当患者数、行った処置、機器の取り扱い、夜勤回数、改善活動などを具体的に記す。実績や強みを数字と事例で示す場。

記入項目の基本と看護師ならではのポイント

基本情報
西暦か和暦は全体で統一。連絡先は日中つながる電話とメールを明記。緊急連絡先は求められた場合のみ。

学歴・職歴
最終学歴からで構いませんが、看護短大・看護専門・大学など区分は正確に。職歴は医療機関名だけでなく、病院種別と配属を書き添えると伝わりやすい。例として急性期一般病棟、整形外科病棟、ICU、HCU、NICU、オペ室、外来、透析室、訪問看護ステーション、介護老人保健施設など。

免許・資格
看護師免許、准看護師免許、保健師、助産師、特定行為研修修了、感染管理や集中ケアなどの認定看護師・専門看護師、BLS・ACLS・PALS、呼吸療法認定士、糖尿病療養指導士、透析技術認定など。取得年月を必ず記載。

志望動機
配属希望領域、患者さんへの貢献イメージ、これまでの経験との接続、学びたい分野を短く。職場見学で感じた点を一文添えると具体性が増します。

本人希望欄
入職可能時期、シフトの前提、通勤手段、配属希望の優先度などを簡潔に。希望休やオンコール可否は線引きを明確にする。

健康状態と予防接種歴
履歴書に細かく書かないのが一般的。入職時健診で提出するため、履歴書では支障なし程度の表現で足ります。

写真
カラー、正面、帽子なし、医療職にふさわしい清潔感ある服装。背景は無地、3か月以内のもの。

実績の書き方のコツ（数字で伝える）

患者層と規模感
日勤の受け持ち目安や夜勤帯の体制、病床数。例として日勤は受け持ち7〜8名、夜勤は看護師2名体制など。

ケアと処置
点滴管理、人工呼吸器管理、中心静脈カテーテル、血糖コントロール、褥瘡対策、ストーマケア、透析シャント管理、術前術後管理、終末期ケアなど。

機器・システム
電子カルテのメーカー、輸液ポンプ、シリンジポンプ、モニター機器、バーコード投薬、PNSやフォーカスチャーティングなど記録方式。

成果や改善
転倒転落の発生率低減、褥瘡予防ケアの遵守率向上、退院支援のリードタイム短縮、患者満足度アンケートの改善など、期間と数値を添えて一例で十分。

シフト・働き方の経験と希望の書き方

勤務形態
日勤のみ、二交替、三交替、夜勤専従、オンコールの有無と回数。例として夜勤月4回、オンコール月6回対応など。

働き方の条件
フルタイム、時短勤務、日勤常勤、土日祝の可否、保育園送迎などの時間制約。本人希望欄で簡潔に記すとミスマッチを防げます。

よく出る関連用語のやさしい解説

入院基本料
病棟の人員配置の指標。7対1や10対1など。看護必要度や業務量の目安になります。

プリセプター・バディ
新人や中途の教育担当のしくみ。育成体制があると立ち上がりやすい。

オンボーディング
入職後の立ち上がり支援。OJTや集合研修、1on1などを含みます。

コンピテンシー
成果につながる行動の型。面接の評価観点として使われます。

応募先別のアレンジ例

急性期病院
救急搬送件数や術後管理の経験、夜勤体制、緊急対応の実績を明確に。

回復期・地域包括ケア
ADL評価、退院支援、多職種連携、家族支援の経験を中心に。

訪問看護
訪問件数、移動手段、オンコール、ターミナルケア、在宅療養環境の調整力を記す。

クリニック・外来
採血や点滴、処置全般、診療補助、検査説明、患者対応のスピードと正確さ。

透析
穿刺、回路管理、合併症対応、医師連携、フットケアの知見。

よくある質問に備える準備

転職理由
事実に基づき、学びと前向きな動機へつなげる練習を一段で。

強みと弱み
強みは再現性のある行動で、弱みは対策とセットで。

ギャップ期間
家族介護や育児、体調、学習期間などは簡潔に経緯と再発防止策を説明。

添付・同封で迷いやすいもの

職務経歴書
履歴書とセットで提出するのが一般的。配属、患者層、処置、数値実績を中心に。

免許証の写し
コピー提出が求められる場合あり。個人番号カードの写しは不要。

実務経験証明書
訪問看護や認定取得の要件確認で求められることがあります。

電子履歴書のポイント

ファイル形式
PDFに固定。改ざん防止とレイアウト崩れを防ぐ。

ファイル名
日付_氏名_履歴書.pdf のように検索しやすく。

書式の統一
西暦か和暦、日付の表記、箇条の丸数字などを統一。フォントは一般的なものを使用。

サイズと写真
数MB以内を目安。写真は適切な解像度で貼り込み、別添が指定されていれば従う。

応募書類の文面テンプレ

志望動機の例
急性期整形外科病棟での術後管理と早期離床支援に3年間携わりました。御院の回復期病棟では退院支援と在宅への橋渡しを強化されていると伺い、リハビリ職や医療ソーシャルワーカーと連携し、入院から退院までの流れを切れ目なく支える看護に貢献したいと考え志望しました。

本人希望欄の例
入職可能時期は来月1日以降。二交替勤務可、夜勤は月4回まで希望。通勤は車を予定、駐車場の有無をご教示ください。

NGになりやすいポイントと改善のヒント

病院名だけで配属や業務が分からない
配属領域、患者層、主な処置、夜勤回数を一行ずつ補う。

志望動機が一般論のみ
見学や説明会で得た具体情報を一文入れる。

誤字や日付の不統一
下書きでチェック、第三者の確認を依頼。

写真の印象が軽い
背景無地、自然光、シンプルな服装で撮り直す。

看護師向けチェックリスト

✅写真は3か月以内、清潔感のある服装か
✅西暦か和暦を統一しているか
✅学歴と職歴の時系列に抜けがないか
✅配属領域、患者層、主な処置、夜勤回数が一目で分かるか
✅免許・資格の正式名称と取得年月が正しいか
✅志望動機が応募先の特徴とつながっているか
✅本人希望欄で入職時期とシフトの前提を明記したか
✅PDF化し、ファイル名と容量を整えたか

履歴書は、あなたの人となりと医療者としての輪郭を最短距離で伝えるための一枚です。

配属や処置の経験、シフトの実績、学びたい分野を簡潔に言葉にし、職務経歴書で深掘りする。この二段構えが、面接や見学での対話の質を高め、ミスマッチを減らします。丁寧に整えた履歴書は、それだけで現場への信頼感につながります。落ち着いて準備し、次の一歩へ進みましょう。