3交代制とは

3交代制(さんこうたいせい) とは、日勤・準夜・深夜の三つの勤務帯で24時間の看護を回す勤務形態のことです。引き継ぎの回数は増えますが、一回あたりの夜勤時間が短く、深夜帯の負荷を細かく分散できるのが特徴です。看護必要度や受け持ち人数、申し送りとカンファレンス、電子カルテでの記録時間の確保、投薬のダブルチェックやバーコード投薬、退院支援や多職種連携といった運用を、三つの帯で役割分担しながら安全に進めます。

基本の時間帯と一日の流れ

多くの病院では、日勤は朝から夕方、準夜は夕方から深夜、深夜は深夜から早朝という枠で運用されます。日勤は検査や手術、入退院の調整が集中し、医師・リハ・MSWとの打ち合わせが多くなります。準夜は入院受けや術後の安定化、夜間診療のフォローが中心で、深夜は観察密度と安全行動が主役になります。早朝は採血や術前準備、朝の申し送りに向けた記録の整えがポイントです。

3交代制のメリット(負荷の分散と集中力の維持)

夜勤時間が短いため、深夜帯の眠気や体力消耗を抑えやすく、集中力を保ちやすい利点があります。帯ごとに役割が明確になり、準夜は急変初動や観察、深夜は安定維持と安全確認など、場面に合わせたスキルを磨けます。引き継ぎがこまめにある分、患者情報の更新が細やかに行われ、チーム全体で状態変化を捉えやすくなる側面もあります。

注意点と向き合い方(引き継ぎ精度と生活リズム)

三つの帯に分かれるため、申し送りの回数が増え、情報伝達の精度が品質を左右します。フォーカスチャーティングやSOAPなど記録の型をそろえ、要点を短く具体に残す習慣が大切です。また、週内で時間帯がたびたび変わるため、睡眠と食事のリズム(体内時計)を意識したセルフケアが欠かせません。短時間の仮眠、光の浴び方、カフェインの取り方、明けの過ごし方を自分の型にすることで負担を軽減できます。

2交代制とのちがい(どちらが自分に合うか)

2交代制は夜勤が長い分、引き継ぎが少なく、情報の連続性を保ちやすい一方で、体力面の負荷が大きくなりやすい特徴があります。3交代制は夜勤が短く体調管理をしやすい反面、通勤回数が増え、申し送りの質がより重要になります。家族の予定、通勤動線、学習時間、夜勤手当の体系、受け持ち人数の目安など、生活と収入と学びの三つの視点で比較すると判断しやすくなります。

看護現場の運用ポイント

日勤は医師指示の反映、検査搬送、退院支援の推進、カンファレンスの進行、記録時間の確保が中心です。準夜は入院受けや術後観察、疼痛コントロール、家族対応が増えやすく、深夜は環境調整、睡眠の質の支援、ナースコール対応、急変時の初動が要になります。PNSやチームナーシングの体制、電子カルテのショートカットやテンプレ、バーコード投薬やダブルチェックの手順を帯ごとに合わせておくと、立ち上がりがスムーズです。

シフト作成と休息設計(無理なく続けるために)

三交替では、連続して同じ帯を続けるか、帯をローテーションするかで体調への影響が変わります。準夜の翌日の予定、深夜明け後の睡眠確保、会議や研修の時間帯の調整など、実際の運用と就業規則を合わせて確認しましょう。希望休の取り方、急なリスケ時の連絡ルール、看護補助者やクラークの配置、受け持ち人数の上限、記録時間の確保方法も、面接やオファー面談で言葉の粒度まで揃えておくと安心です。

年収・手当の考え方(モデル年収の前提を確認)

三交替では準夜手当と深夜手当が分かれている場合があり、回数の想定がモデル年収に影響します。固定残業の有無と時間数、超過割増の計算、オンコール手当、通勤手当、住宅手当、資格手当の扱いを労働条件通知書で確認します。明けの扱い、連続勤務の制限、夜間の休憩・仮眠の確保方法など、運用ルールが数字にどう反映されているかまで一致させると齟齬を防げます。

病院見学・面接・オファー面談で確認したいこと

三交替の現場では、夜間帯の看護師と看護補助者の人数、受け持ち人数の目安、申し送りの所要時間と方式、記録時間の守り方、インシデントの振り返りの場、1on1やラダーの運用、教育委員会の機能、電子カルテのメーカー、バーコード投薬の有無などが働きやすさを左右します。急性期・回復期・療養・精神科・小児・産科・ICU・HCU・オペ室・外来・透析・訪問看護では立ち上がりの設計が異なるため、配属候補と学びのロードマップも合わせて確認するとミスマッチを減らせます。

体調管理と学びのコツ(90日で型をつくる)

準夜や深夜前の短い昼寝、出勤前の軽食、夜間の水分補給、仮眠の取り方、明けの睡眠導入の工夫など、セルフケアの型を最初の30日で固めます。次の30日で観察と判断のスピードを上げ、最後の30日で小さな改善提案を一つ実行します。疼痛コントロール、転倒転落予防、褥瘡対策、退院支援、感染対策、家族支援、多職種連携といったテーマでSTAR(状況・役割・行動・結果)事例を一つ深掘りして記録すると、評価や面接での説得力が増します。

ケース別の働き方のヒント

急性期では、準夜の入院受けと深夜の安定維持を分けて考えると、業務の優先順位が明確になります。回復期や地域包括ケアは、日勤でのリハ調整と家族支援、準夜・深夜での安眠支援や環境調整が要点です。ICU・HCUは、人工呼吸器や循環管理の負荷を考慮し、帯ごとの観察ピッチと申し送りの精度を上げる設計が効果的です。オペ室は手術スケジュールに準じ、準夜の緊急対応や深夜の待機ルールを明確にしておくと安心です。

よくあるつまずきと回避策

申し送りが長文化して記録時間が圧迫される、深夜明けの会議・研修が続いて休息が削られる、準夜から深夜の切り替えで睡眠が浅くなる、といった悩みは起きがちです。対策として、申し送りは観察・所見・行動・依頼の順で要点化し、会議の時間帯は事前に交渉、睡眠は光とカフェインのコントロールで質を守ります。受け持ち人数と看護必要度、看護補助者の配置、休憩の取り方は、見学と面接で数値と運用の両面から確認しておきましょう。

3交代制とは、夜勤時間を短くしながら患者安全とチームの集中力を保てる働き方です。

配属、シフト、安全、記録、教育、待遇という六つの軸で事前に運用と言葉をそろえ、30・60・90日の節目で体調管理と学びの型を固めれば、安心して力を発揮できます。あなたの生活リズムと成長の狙いに合う病棟とシフトを選び、無理のないペースで看護の質を積み上げていきましょう。