2交代制とは
2交代制(にこうたいせい) とは、日勤と夜勤の二つの時間帯で24時間の看護を回す勤務形態のことです。日勤が一枠、夜勤が一枠というシンプルな編成で、引き継ぎの回数が少なく、患者情報の連続性を保ちやすいのが特徴です。看護必要度や受け持ち人数、申し送りとカンファレンス、電子カルテでの記録時間の確保、投薬のダブルチェックやバーコード投薬、インシデント共有、退院支援や多職種連携といった運用を、日勤帯と夜勤帯で役割分担しながら進めます。
基本の時間帯と一日の流れ
2交代制は一般に、日勤と夜勤が長めに設定されます。日勤は申し送りから始まり、処置やケア、検査や入退院調整、カンファレンス、記録の最終確認までを計画的に進めます。夜勤は受け持ち患者の観察、疼痛コントロール、急変や救急の初動、夜間の与薬、早朝の採血や手術準備、明け方の申し送り準備が中心です。どちらの帯でも、記録のタイミングを前もって決め、電子カルテへの入力とダブルチェックで安全を担保します。
メリット(情報の連続性と休息の設計)
引き継ぎが少ないため情報が途切れにくく、計画したケアを一本線でやり切りやすいのが長所です。夜勤後は明けが入り、休みを組み合わせれば連続休暇を作りやすく、通勤回数が減る分だけ体力と時間の節約にもなります。夜勤手当や深夜割増が月収・年収に与える影響が分かりやすく、モデル年収の比較も行いやすくなります。
注意点(長時間勤務と体調管理)
夜勤が長時間になりやすい分、仮眠と休憩の運用がとても重要です。眠気対策の計画、カフェインの取り方、明けの過ごし方、日内リズムの整え方を自分の型にしておくと負担が軽くなります。明け残業が発生しやすい部署では、記録時間の確保や申し送りの所要時間を事前に確認し、無理のない受け持ち人数と動線で働けるかを見極めます。
3交代制とのちがい
3交代制は準夜と深夜で分かれ、夜勤時間は短くなる一方、引き継ぎ回数が増えます。2交代制は夜勤時間が長い代わりに、情報の連続性が高く、受け持ちの変化が少ない傾向です。生活リズム、学習時間、家族との予定、通勤負担、夜勤手当の体系など、生活と収入の両面で違いが出るため、自分に合うほうを選ぶ視点が大切です。
看護現場での運用ポイント
日勤帯は検査や退院支援が集中し、多職種連携の打ち合わせも多くなります。夜勤帯は観察密度と安全行動が中心で、ナースコール対応や夜間の与薬、急変時の初動、早朝の手術準備が重なります。PNSやチームナーシングの体制、フォーカスチャーティングやSOAPなど記録の型、インシデントの振り返りの場、1on1やラダー評価の進め方まで、帯ごとの役割を言葉で合わせておくと、配属の立ち上がりがスムーズです。
シフト作成と働き方設計
2交代制では、夜勤回数の上限、連続夜勤の可否、明けと休みの組み方、オンコールの有無、年間休日と有給の取り方が働きやすさを左右します。看護補助者やクラークの配置、受け持ち人数の目安、記録時間の確保、申し送りの方式、バーコード投薬の運用など、現場の言葉で具体に合意できるとミスマッチが減ります。託児や病児保育、住宅手当や通勤動線も、生活設計の重要な条件です。
モデル週間の例
・月曜 日勤
・火曜 休み
・水曜 夜勤
・木曜 明け
・金曜 休み
・土曜 日勤
・日曜 休み
日勤と夜勤を交互に組み、明けに無理な予定を入れないのがコツです。施設によっては、連続夜勤や週末固定などのパターンが選べる場合もあります。
面接・病院見学・オファー面談で確認したい項目
2交代制で働く前には、夜勤回数の上限、夜勤帯の看護師と看護補助者の人数、受け持ち人数の目安、仮眠と休憩の確保方法、明け残業の実績、申し送りの型と所要時間、記録時間の確保、電子カルテのメーカー、投薬のダブルチェックとバーコード投薬の運用、カンファレンスの頻度、インシデントの振り返りの場、1on1やラダーの運用、オンコールの出動条件を質問で固めます。労働条件通知書と就業規則で、固定残業の有無や時間数、夜勤手当の金額、賞与の算定基礎も文字で確認します。
体調管理と学びのコツ
夜勤前は短い昼寝で睡眠負債を軽くし、出勤前の食事は消化の良いものを選びます。夜勤中は水分をこまめに取り、仮眠時間を確保して集中力を保ちます。明けは日の光を浴び過ぎない工夫で睡眠導入を助け、連休には生活リズムを整えます。学びは90日計画に落とし込み、疼痛コントロール、転倒転落予防、褥瘡対策、退院支援、感染対策など、夜勤で活きるテーマを意識して事例化すると伸びが早まります。
年収と手当の考え方
2交代制は夜勤回数が年収に与える影響が大きめです。夜勤手当、深夜割増、オンコール手当、通勤手当、住宅手当、資格手当などの内訳を把握し、モデル年収の前提条件を確認します。固定残業の有無と時間数、超過割増の計算、明けの勤務扱いなど、運用の言葉で一致させておくと、後の齟齬を防げます。
よくあるつまずきと回避策
配属未確定のままシフトだけ先に決まる、記録時間の確保が曖昧、夜勤帯の人員が想定より少ない、明けに会議や研修が重なる、といった齟齬は起きがちです。対策は、見学と面接で具体の数字を確認し、口頭合意は短いメールで要点を残すことです。受け持ち人数と看護必要度、申し送りの方式、休憩と仮眠の運用は、納得いくまで言語化しておくと安心です。
2交代制は、情報の連続性と働き方の設計自由度が両立しやすい勤務形態です。
配属、シフト、安全、記録、教育、待遇という六つの軸で数字と運用を事前に確認し、自分の体調管理の型を作れば、安心して力を発揮できます。あなたの生活と学びのバランスに合う病棟とシフトを選び、最初の90日で確かなリズムを作っていきましょう。